苦しそうな表情、胸を押さえている手。
発作だとすぐに分かった。
「岡本さん!?」
慌てて岡本さんの元へと走る。
「どうしました!?」
周りにいた看護師も、ただならぬ様子に気付いて来た。
「清水先生に連絡して!運ぶから!!」
大声で言いながら、岡本さんを支える。
岡本さんは、息をするのも忘れてグッと力を入れて発作の痛みに耐えていた。
「岡本さん、深く息を吸って。大丈夫だから」
耳元で囁く。
必死に口を開けて酸素を取り込もうとしているのが分かるけれど、難しいみたい。
急いで運ばないと……
このまま抱えていくか、まだ来ないストレッチャーに苛立つ。
すると、ガッと僕の腕に力が加わったのが分かった。
見れば、岡本さんが僕の腕を掴み、苦しそうに顔を歪めながらも見上げていた。
どこにそんな力があるのか、と思うくらいの強さ。
「手術……しないで」



