「もしもね?」



いつもよりも優しい言い方で、話を切り出す岡本さんに、僕は写真から彼女の横顔へと視線を落とす。



「多分あり得ないだろうけど……あたしが手術する!って決めた時。
その時は……あたしの心臓、任せるよ、“高橋先生”に」




そう言いながら顔を上げて僕を見る。




あの、いつか見たあさみちゃんに笑いかけていた心からの笑顔で。


僕を見ながら、思いがけない言葉を言ってくれた。



思わず目を見開く。




僕に任せてくれるの?



それって、僕を執刀医……担当医として認めてくれるって事?



言われた言葉を脳内で時間差で理解していくと、遅れて来た嬉しさが体の中に広がっていくのが分かった。




「あ!言っとくけど、あたしが手術するって思った時だから。
発作が起きても絶対に手術しないでね」



嬉しさを実感しながらも、未だ体は岡本さんを見たまま直立不動。

多分、顔も緩んでしまっているのではないかと思う。


それくらい嬉しいから。


そんな僕を見て、勘違いするなとでも言いた気に、岡本さんが付け加えた。