「ね、やっぱり 高橋先生って呼ばれたい?」



また手術の話から切り抜けたいのか突拍子も無い事を言いだす。




「……今言ってる話分かってる?」


「分かってるから。呼ばれたい?」



……せっかく今ならしっかり僕の思いを聞いてくれると思ったのに。



心の中で落胆すれば、質問に答えろと言う視線が突き刺さってくる。



先生、か。



正直、自分が“先生”なんて敬称を付けて呼んでもらえるほど力量が無いと思う。



先生と呼ばれても、所詮まだまだ経験の浅い医者でしか無いから。



でも。



「……そりゃ…ね。高橋、高橋って呼ばれるから、それを真似して小さい子達が呼んだりするんですよ」