「手術しないで発作が起きて もしも の事があった時。
もうこんな綺麗な景色に感動する事も出来なくなるんだよ?」



見に行きたい、と思う事も。



見に行く事も。



感動する事も。




何も、出来なくなるんだ。





「うん、分かる」


「だったら……それでも手術したくない? 治れば体に振り回される事無く自分の好きな事が出来る。
心はまだ若い。これから楽しめるのに、手術しないで発作なんかで人生を台無しにさせたくない。
……早く治して、これから楽しむべきです」


「なんか……医者っぽい」




せっかく真剣に話しても、岡本さんはそれとズレた部分で笑いだす。



「医者ですけど」


「うん、医者だね」




そんな事言ってる場合じゃない。



「僕は!心配だから言ってるんですよ!?」


「知ってる」


「分かってないですよね……」




何も、分かっていない。



周りの人が、どれだけ岡本さんの事を心配してるかも。


考えたら、危ない行動なんて出来ないよ。