「……怒鳴られるのは嫌だけど、怒る事はあった方が良いんじゃない?」


「怒られたいの?」


「んなわけ無いでしょ?馬鹿じゃないの!?」



怒っても良いって言われたみたいだったから。



ちょっと聞いてみれば、岡本さんは怒ったみたいで肩を叩かれた。


「痛……」



地味に痛い。








写真展の入り口まで来ると、僕は繋いでいた手を離して近くのベンチに座る。




「はい、行ってらっしゃい。
30分で出てきてね」



ここまで来たらもう逃げたりしないでしょ。



見終われば、大人しく一緒に帰ってくれるはず。




30分で全部見れるかどうかは分からないけど……何も見ないで帰るよりは良いよね。




どうぞ、と手を離したのに、岡本さんは何故か僕の前に立って動かない。



「……高橋入んないの?」



そう聞かれて、岡本さんがここに留まっている理由が分かった。



僕も入ると思ってたんだ。



……せっかくだし、入ってみたいとは思うけれど生憎ここの写真展はチケット制。



チケットが無いと入場する事は出来ない。