「……何で笑う?」
人が、そこはいけなかったと思って真面目に反省して謝ってるのに。
すると、噛み締めるようにして笑いを終わらせた岡本さんが口を開いた。
「そこで謝っちゃダメ。
確かにビックリしたけど、あたしが走ったから怒ったんでしょ?
だったら高橋は間違ってないじゃん。そこで謝るからまだまだなんだよ。
我を忘れてたって、あたしが発作起きないように必死だったんでしょ?
あたしが悪かったし……怒らなきゃいけない所はさっきみたいに怒った方が良いと思う」
あ……何か今、すごく感動してしまった。
あまり口に出しては言ってくれないけれど、少しは考えてくれてるんだって分かって。
「岡本さん……大人になりましたね」
「は!?」
思わず言ってしまえば、岡本さんはあからさまに眉間に皺を寄せる。
「てっきり 『何であたしがあんたに怒鳴られなきゃいけないのよ!』って言われると思いました」
言われると思った…と言うか言われる覚悟だった。
怒鳴った時に怒鳴り返されるかとも思ったのに、静かになって予想外だった。



