なんだか、その無力になった岡本さんを見ているとこのまま連れてかえって良いのだろうか……と迷ってきた。



ここまで一生懸命来たのに、と。



そんな事考えている暇なんて無いのに。




早く病院に連れて帰らないといけないはずのに、岡本さんにとってもこれが一番良い選択なのか……と思う。




いっそここまで来た事だし、岡本さんの希望である写真展に行った方が良いんじゃ?



写真を見せて満足してもらった方が手術を受けてくれるんじゃないだろうか。




このまま連れて帰ったら、また僕達に反抗するだけのような気がする。




それなら……。




繋いだ手を使って、岡本さんには気付かれないようにさり気なく脈を測った。



今の所は安定している。




少しでも顔色や様子がおかしいと判断したら、すぐに連れて帰ろう。



少しだけでも、岡本さんの希望である写真展に連れていってあげよう。




繋いだ手に少し力を込める。


エレベーターの所へ行き、ボタンを押すとすぐに扉は開いた。