無事でいてくれて良かったけれど。
抜け出さないで、外出してはいけないと行ったはず。
それはきちんと怒らなければいけない。
危ない状況に、岡本さんはいるんだから。
「……何してんの?
病院抜け出して」
自分が思っていたよりも感情の無い冷たい声が出た。
岡本さんは反応せずに、僕から視線を外してどこか一点を見つめる。
「……聞いてる?」
岡本さんの顔を覗き込みながら、聞く。
「聞いてるけど?」
僕の目を見て、意志の持った強い瞳で、強気の声で答えてきた岡本さん。
「うん。なんでここにいるの?」
どうして。
あれだけ駄目だって言ったのに。
どうして言ったことを利かないでまた病院を抜け出したの?
岡本さんは答えず、ただ僕を睨み付けてくる。
……悪い、と言う思いは無いんだろうな。
どっちかと言ったら僕の方が悪いと思われているんだろう。
行きたいところにも行かせてくれないんだから。