ちゃん付けで呼んだ事が嫌だったらしい。


「ごめんね、岡本さん」


すぐに訂正して謝る。



「って、何でこの人もあたしの担当に?」


岡本さんは清水先生に尋ねる。



「今回からは高橋先生が主に担当だよ。
先生は高橋先生にアドバイスするだけ」


「何でですか?」


「世代交代……かな。先生も、もう年だし」


「嫌です!清水先生が良い!」



岡本さんは不安そうに叫ぶ。


それはそうだよね。



こんなまだまだ経験の浅い僕よりもベテランな清水先生のほうが良いと思う。



それは僕も良く分かってる。


けど、やはり分かっていても実際目の前で嫌だと言われたら少しは傷付く。



それが、ずっと担当になりたいと思っていた人なら尚更。



「そう言われるのは嬉しいなぁー。

でも、高橋先生も立派な医者だ。これから先、心ちゃんも大人になって歳を取っていくだろう?その分先生も歳を取る。いつまでも心ちゃんの担当……は出来ないんだよ。

高橋先生はまだまだ若いし、心ちゃんとも歳が近い。
困った事があったら相談しやすいだろう」



微笑みながら言う清水先生とは反対に、岡本さんは本当に嫌そうな表情で清水先生を見る。