薄着の僕には本当に辛い。
さっきから風が吹くたびに体温を奪われていっている気がする。
僕が壁になっているから、岡本さんの方に冷たい風が当たらないからまだ良いけど。
場所を移動しよう。
立ち上がったら、岡本さんは身構える。
此処から動かないとでも言うように。
「じゃあ、とにかく院内に入りませんか?
このままだと本当に風邪引くし……」
「……とか言って。
部屋に戻そうとしたりしない?」
疑いの眼差しで僕を見上げる。
「しない。さっきの外出の件の話も聞かないといけないし。
はい、立って」
理由を聞いた以上、話をきちんと聞くまで無理やり部屋に戻したりしないよ。
じっと僕の様子を伺うようにしている岡本さんに笑いかけると、岡本さんの腕を掴んで立ち上がらせる。
歩きだすと少し間を置いてから足音が聞こえた。
ちゃんと付いてきてくれている。
珍しく素直に付いてくる岡本さんに気付かないように笑ってしまった。



