【完】君の笑顔






「高橋寒そう。入れてあげる」



……僕の今の話聞いてた?




言葉には出さず視線で訴えようと岡本さんを見ればマイペースなのか。



僕の視線に全く気付かず僕の方に座ったまま


距離を詰めつつブランケットを大きく広げて僕の膝にまでかけてくれた。




「……部屋に戻りませんか?」


こんな寒い思いをしてまでここにいる意味が分からないし。


パーカーとブランケットがあっても寒いだろうから。


暖かい室内の方が。



「だって部屋に戻ったら人がいるじゃん。……あたしは高橋と二人で話したいの」




……珍しい。



岡本さんが僕と話したいと言ってくれるなんて。



いつもウザがられるのに。



同室の人に話を聞かれるのが嫌だからわざわざこんな寒い所にも出てきた、と。




それなら……暖かくてゆっくり話せる場所に移動すれば良い。