院外ではなく中庭で良かった。
べンチに座った岡本さんの肩に、さっき手に取って持ってきたパーカーとブランケットをかける。
「そんな薄着で風邪引いたらどうするんですか。
せっかくもうすぐ退院出来るかもしれないのに……」
隣に座りながら注意する。
煩いかもしれないけれど、岡本さんは自分の体の事をもう少し考えて貰わないと。
「そんなにあたしに退院して欲しい?」
パーカーに袖を通しながら口を開く岡本さん。
「退院して欲しいですよ。
でも、手術をしてしっかり病気を治してから退院して欲しいです」
治してから。
また運ばれてくる度にヒヤヒヤな思いをしないといけないのは嫌だから。
それに、僕は医者だよ?
退院して欲しくないと思うはず無いのに。
なんて質問を……。



