自分でも分かっていたけれど、そこまで深刻な表情をしていたとは。



「……すみません」



言って、唇を噛み締める。


僕がご両親を安心させないといけないのに、逆に不安にさせるような顔してどうする。



まだまだ未熟だ、とまた感じる。



「心ちゃんの説得、頑張ってね。表情気を付けながら」



そう言って部屋を出ようとする清水先生を見て、え、と声が漏れた。



「清水先生は……?」


「僕からも言ってみるけど…多分心ちゃんは首を縦に振らないだろうなぁ。

何年も言ってるんだけど……。それに、高橋君の方が説得できそうだしね」




首だけで振り返った清水先生に僕は首を振る。




何年も岡本さんを担当していて、岡本さんも信頼している清水先生が言っても嫌と言うなら。




この前担当に付いたばかりの僕なんて無理だと思う。



「……手術を受けさせる事も大切だけど、発作を起こさせないようにもしないとね」



発作を起こさせないように。



「……はい」




顔を伏せると、清水先生がゆっくりと歩いていく足音が聞こえた。