健哉が帰ったあと、一人になった私はもちろん声を出して泣いた。


夜だということも忘れて…

泣きつかれて何も考えずに眠りたい。


苦しくて、

辛くて、


こんな想いをするくらいなら、二度恋なんかしない。


もう誰も愛さない。


こんな裏切り…


立ち直れないよ。


ベッドにうずくまって泣き続けた。

どのくらいか経った頃…


静かだった部屋に携帯が鳴り響く。


誰?

相手を確認する余裕もなかった私。


『…はい』


『どうした?おまえ、泣いてんの?』


『え?……あ、違っ…』


なんてタイミング。


『違わないだろ。どうしたんだよ?』


猛の声が優しく耳に届く。


ダメだよ。今は…


だって、私弱ってるもん。


今優しくされたら… きっと流されちゃう。

だからね。

優しくなんかしないで。


『なんでも…ないって…』


涙を堪えて、精一杯冷静に言ったのに。


『強がるなよ。俺の前では素直になれ。』


ばか…猛。


優しくしないでって言ったのに。


泣けてくるじゃん。