「……もう何とでも言え」

ベッドに顔を埋め、息を吸い込む。

あ、いつも橘のスーツから香る洗剤の匂いだ……。

「何か変な物でも食べました?」

「……ランチ以外食べてねぇよ」

「……おかしいですね。熱でもあるんじゃないですか?」

「ねぇよ。というか、橘こそどうした。……いつもなら待ってくれるのに」

「何をおっしゃいますか。私は常日頃から貴方を置いていこうと思っています」

「常日頃って……」

その言葉を聞いて若干がっくりときた。いつも待っていてくれるその裏で、車を出そうか出すまいか迷っている、ということだろうから。