さぁ、跪いて快楽を乞え!

その言葉を聞いた薫は倒れ、倒れ込んだ橘の腕に自分の腕を絡め、自分の顔を埋めた。

「部屋まで来たなら一緒に寝てくれるのが礼儀だろう?」

「そんなの聞いたことありません。……『据え膳食わぬは男の恥』というものなら聞いたことありますが」

「なら俺を据え膳だと思えば良いだろう」

「ご冗談を。私が貴方を抱かなくてはならないなんて、考えただけで寒気が……」

「……お前はそんなに俺が嫌か」

「貴方は男性でしょう。立場をわきまえなさい」

「いや、お前がな」

執事としての立場をわきまえるべき人間は橘だろう……。