さぁ、跪いて快楽を乞え!

「さて、もう良いでしょう。一緒に寝ることを早く諦めて下さい」

「いやだ」

風呂に入ってワックスが取れ、欝陶しく垂れてくる前髪を左手で掻き上げる。いつまでもごねる主人に対し、溜め息を吐き、聞いてみた。

「どうしてそこまで一緒に寝る事にこだわるのです? 抱き枕が欲しいのであれば、この前あげたでしょう?」

ドイツのシュタイフで買った、ゴールデンレトリバーのそれはもう可愛らしい、素晴らしい逸品を。

「あれは冷たすぎる。ちっとも温かくない」

「ならば湯たんぽをお持ち致します」

「湯たんぽは小さすぎる」

「では大きいサイズのものを探してまいります」

「そんなものこの家には無い」

「ひょっとしたらあるかもしれませんよ? この家、大きいですから」

何せ門から玄関まで徒歩で5分もかかる家なのだ。外観は洋館のようで、庭は一流の庭師が手入れを施し、今の時期は薔薇が咲く。