さぁ、跪いて快楽を乞え!

「じゃあ、読み聞かせて」

「はい? この本は読み聞かせるような内容ではありませんよ」

今、私が手にするのは太宰 治の『人間失格』だ。中学生の頃読んだ時はその話のあまりの暗さに前半部分で読むのをやめてしまったが、今なら読むのに苦は無い。

「じゃあ、本なんか読まないで」

「はぁ……お子様ですねぇ」

ため息を吐き、本を置く。さて、困った。する事が何も無い。すると、薫に服をくいっと引っ張られた。

「こっち向いて」

「……それでは寝にくいでしょう」

珍しい、お子様発言に何も言い返してこない。やはり風邪のせいで体が辛いのだろうか。

「背中を向けられた方が寝にくい」

「全く……」