あの人が好きで。




「泣けましたね~!」




タケは結構涙もろいのだという。


アタシも涙もろい。


映画館の中で2人泣いていた。



「そうだねッッ・・・。あのシーンとか、ホント最高に泣けた!」



アタシとタケは盛り上がる。


歩きながら、その映画の話をしていた。


そのとき。




「・・・優亜?」



後ろから名前を呼ばれた。


アタシのことを、『優亜』って呼ぶのは、女の子の友達と、聡しか居ない。


今の声は・・・男。




後ろを振り向くと・・・。



「さ・・・聡・・・。」



タケはアタシと聡を見る。


何がなんだか分からないだろう。



「優亜・・・。お前、今日は真央子ちゃんと遊んでるって言ってなかったか?」



「そっ・・・それはね、聡・・・」


「誰だよ、その男。」




聡の声が怖くなる。


はじめてあったときの、聡の声に似てる。


怒ってる。


聡が怒るのも無理ないよ。だって、アタシが悪いんだもん。



「ごめッ・・・」


そういいかけたとき、タケが言った。



「俺が誘ったんすよ。優亜先輩に。」



「は?」


「俺、優亜先輩の事、好きなんすよ。」




タケ・・・?!


ここで言う事じゃなくない?!

それを聞いた聡の顔が引きつる。



「・・・そうか。コイツが告白されたっていうやつか。」



「聡、ホントごめ・・・。」



「・・・優亜、俺、優亜のこと、信じられなくなるかも。」





そういうと、聡は帰ってしまった。


残されたアタシとタケ。


そのまま、アタシはしゃがみこんでしまった。



聡に嫌われた。


聡に幻滅された。



涙がぼろぼろあふれてくる。


止まらない。






聡、聡、聡。



アタシが初めて付き合った、聡。


こんな形で終わりたくない。



ただ、アタシはその場で泣いていた。