良かった…、2人にようやく幸せなトキが訪れて・・・
「…蘭、そろそろ行こうか?」
彼女の腰元を引き寄せたまま、見下げる息子の瞳は優しい色をしていて。
「あ、そうだった…!
理沙子さん、お世話になりまして本当にありがとうございました。
それでは、行って来ますね?」
拓海に頷いてから、私に温かな笑顔を向けつつ一礼を重ねて。
何処までも低姿勢な彼女は、東条のお嫁さんとしての資質を備えていると思う。
立ち姿こそまだ頼りないけれど、生まれ持つオーラは隠しようがナイのよ?
「えぇ、こちらこそありがとう!
ツマンナイ息子に飽きたら、私の所に来てね?」
もちろん私は本気で、蘭ちゃんと暮らしたいから言ったのだけれど。
「ふふっ…、また2人で遊びに来ますね!」
嬉しそうに返された言葉は、また拓海を喜ばせる材料になるのよ?
あぁーん、寧ろ私には残念な返答なのに・・・

