貴方との出会いは突然すぎて、そして心を奪われたのも一瞬だった。
この出会いが、すべての人生を変えるとも知らないで・・・
大勢の人を引き連れ、撮影現場に革靴音を響かせてやって来たそのヒト。
多勢の人とは明らかに纏うオーラが違い、思わず私は息を呑んだ・・・
「こんにちは」
「こ、こんにちは…」
私の目の前で歩を止めると、優しいブラウンの瞳に捉えられてしまう。
「貴方が、葛西 理沙子さんですよね…?
初めまして、東条 健斗と申します。
この度は当社のCMにご出演下さって、ありがとうございます」
「・・・っ」
副社長という立場の彼が、年端もいかない私に深々と頭を下げて挨拶をしてくれた。

