そして、ぎゅうっと抱き締めてくる和泉君は、耳もとに顔を寄せ囁いた。


「早くモカが欲しい…」

「あ、あのっ、でも…こ、ここ学校だしっ…」

「分かってる。こんなとこで最後までしねーよ」


そ、そうかしら…。

私が抵抗しなきゃ、最後まで持ちこむ雰囲気だったような…。


困り顔で和泉君を見つめると、再びチュッとキスをされた。

「ちょっ…、い、和泉君っ…」

「もう一回…」


そのまま、啄むようなキスを繰り返され、またもや私の頭はショートしてしまう。

「…んっ…」

も、むり…。

制止しようにも、再びスイッチが入ってしまった和泉君を止める術はなく…。


優しく触れてくる和泉君に、ギュッと胸が締め付けられ、頭の中がとろけていく。

時折「モカ…大好き…」と囁かれれば、もうとろとろだ。

計算で言ってるとしたら、かなりたちが悪い…。それとも本当に素で言ってるの…?


でも、どっちにしろ、もうこのまま、和泉君に落ちてしまいそう…


力が抜けきった体を和泉君に預け、ぼぅっと見つめていると、小さく苦笑された。

「まだ、覚悟できない?」

「……」


もう、なんだかこのまますべて預けちゃって…

流されちゃっていいのかも……

和泉君の背中に腕を回してぎゅうっとしがみつき、思わず身を任せようとしたその時―――…



キーンコーーン――…



予鈴のチャイムが図書館に鳴り響き、ピタリと体が固まった。




…………ハッ!


私、今、何しようとしてたっ!?


バッと慌てて離れると、和泉君が「チッ」と、残念そうに舌打ちした。