「ななな何を考えてるのっ…!?」

はだけた制服を直しながら、あらためてこの状態に恥ずかしさが込み上げた。

パニックになりながら抗議するけど、和泉君は不服そうな表情だ。


「まだ、ダメ?」

うっ…。

和泉君が言いたい意味は分かる。

付き合って数ヶ月が経つけど、私を求めてくる和泉君にいつも怯んでしまい、キス以上、に踏み込めないのだ。

そろそろ覚悟しなきゃって思うけど……

でも、だからといって…


「ここ、学校だよっ!?」

「じゃあ、俺んちだったらいい?」

「そ、そんなっ…」

「いいなら、ソッコーで連れて帰るけど。もうサボって」

「うぅっ…」

「限界なんだけど。目の前に大好きな彼女がいるのに、手が出せないのは」

迫り寄る和泉君に、ぷしゅー、と頭が沸騰しそうになる。

だ、大好きだなんて、そんなサラリと…。

和泉君の愛情表現は、いつもストレートだ。


真っ赤になって固まっていると、和泉君は小さく苦笑しながら、唇にチュッと触れるだけのキスを落とした。