「少しだけって…、言ったのに…」

心と呼吸を落ち着かせた頃、キッと睨みながら和泉君に抗議するけど、平然とした様子で返された。


「少しだけだったろ?」

「どこがよ!!」

再び声を上げると、和泉君は笑顔のまま、またも唇にチュッと軽くキスを落とした。


「何するの!!」

「可愛いな、モカ」

「なっ…!!そんなこと言ったって、もうしないからね!!」

「分かってる分かってる」

相変わらず笑顔のまま軽く返され、思わず疑いの眼差しを向けてしまう。


「……もう、しない?」

「しない」

「…ほんとに?」

「しないって。これ以上すると、海から出られなくなる」

不敵な笑みを見せながらそんなことを言ってくる和泉君に、またもボボッと顔が赤くなる。


「そ、そーいうこと言わないでよっ!!」

身体を仰け反らせながら思い切り恥ずかしがると、和泉君はまた可笑しそうに笑っていた。