「でもよくここが分かったね」

「あぁ。電話しても出ねえし、もう帰ったかと思ったけど…」

「電話、くれてたんだ…」

そ、それさえも全然気付かなかったよ…。申し訳ない…。



「でも、ここに来てみてよかった」

そう言って、和泉君はこっちが照れてしまうほどの微笑みを見せて私を抱き締めてくれた。



は、恥ずかしい…。

ドキドキしながら腕の中で大人しくしていると、和泉君が耳元で話し掛けてきた。


「モカ、一緒に帰ろ?」

「えぇっ!?」

「…そんなに驚くことか?」

「だ、だって!!そんなことしたら皆にバレるよ!!」

「こんな雨じゃ誰だか気付かねえだろ」

「和泉君、自分の注目度全然分かってないよ!!」