このまま抱き締めて、押し倒したい衝動に駆られるが、グッと堪えてひたすら我慢を続けた。

ここじゃ、さすがにマズイ。それくらい分かってる。


目を固く閉じ、雑念を追い払おうと集中するがまったく無意味だった。全身が菜都を感じようとする。

眉間にシワが集まり、うっすらと額に汗が滲み出る。ブチッと何かが切れてしまいそうだ。




マズイのは分かってる……




分かってるが………






「―――――やっぱ無理」

我慢できるわけがない。

そもそも、無防備すぎる菜都が悪い。襲ってくれと言っているようなものだ。


そう開き直った俺は我慢することをやめ、菜都の顔を覗き込むように屈み、その顎に手をかけた。



「言っとくけど、お前が悪い」



言い訳がましい言葉を吐いたあと、薄く開いているその唇にそっと口付けた。


甘く痺れるようなその感触に自分を止められず、もっと、と求めてしまう。


2度3度と啄ばむようにキスを続けていき、そのまま没頭しかけたところで、「ぅん…」と菜都が少し身じろいだ。