よし、決めた。

結衣を祭りに連れて行こう。

そうと決まれば早い。早速、結衣に連絡するため、携帯に電話をした。


「結衣?今どこ?」

『今?まだ学校ですけど…』

「じゃあ、終わったら迎えに行くから、待ってろ」

『え?迎えに?何でですか?』

「祭りに行こう。浴衣持ってるか?」

『お祭り?そんな急に言われても、浴衣持ってないんで、このままの格好になっちゃいますけど…』

「ダメだ。絶対に浴衣だ」

結衣が浴衣を着なければ、何の意味もねえじゃねえか。


祭りの楽しみなんて二の次だ。俺の目的は最後、家に連れて帰ってから。


『でも…』と渋る結衣を、得意の強引さで丸め込み、今日の浴衣デートを無理やり取り付けた。


浴衣は持っていないと言ってたが、俺の実家に行けばきっとある。

おふくろが買い込んでいるものが眠っているはずだ。

よし。ついでに、松井さんに着付けてもらおう。