そして、さっきまで興奮気味に喚いていた銀次は、コホンと咳払いを1つし、結衣ちゃんの手をとって立ち上がらせた。

「志銅、今日のところは許してやる」

……許すもなにも、俺そんなに悪いことしたっけ…?

いまいち納得いかないが、反抗するとまた銀次が怒り狂うので黙っておいた。


「俺はもう結衣を連れて帰る。志銅、分かってるよな?今までサボってた分の仕事を残してやったから必ず今日中に終わらせろ」

「はぁ!?俺一人で!?」

「当たり前だろ。さっきまで俺がお前の残した仕事片付けてやってたんだ」

「ちょっと待てよ!!銀次の代わりに俺が会食に行ったんだぞ!?」

「言っただろ、サボってた分って。会食分の仕事は終わらせてやった。いや、それ以上かもな」

そう言って銀次は結衣ちゃんの腰をしっかりと抱き、机に「じゃあ」と金を置いた。


「あ、あの志銅さん、何だかすみません…」

「いや、結衣ちゃんはちっとも悪くないから…」

「そうだ結衣。全ては志銅が悪い」


くそ…銀次め…。二度と銀次のお願いなんて聞いてやらねえからな…。