「結ー衣ちゃん♪」

もちろん、近づいてポンっと肩を叩きながら声をかけると、結衣ちゃんの身体がビクッ!と跳ねた。


「あ、ごめん。驚かせて」

「えっ…あ、志銅さん!?」

俺の顔を確認した結衣ちゃんは、慌てた様子で参考書をしまいながら「こんばんは!」と挨拶をした。


「こんばんは。ところで、何してるの?」

「大学の帰りで、ちょっと時間潰しに寄り道を…」

「時間潰しって、今日も銀次の家に帰るの?」

俺の問いかけに、結衣ちゃんは少し恥ずかしそうにコクリと頷いた。


……銀次め…羨ましい…。

「じゃあさ!時間あるならお茶しない?アイツどうせまだ仕事終わんねぇし!」

「えぇ!?…お茶、ですか?」

「ダメ?銀次に怒られる?」

「い、いえ…!そんなことは!」

「じゃあ行こうよ!」


戸惑っている結衣ちゃんを無理やり連れて、本屋を出た。