「あー…収穫なしだったな…」


銀次の代わりに出席した会食は全然だめだった。

令嬢、と聞いて期待しすぎてしまった。さすがの俺もあれは手が出ない…。

今日いた令嬢たちの顔を思い出した。


銀次のヤロー…。


すっかり騙された気分になりながら街中を歩いて帰っていると、雑居ビルにある本屋の店内に見知った姿を発見した。



あ。

あれは……結衣ちゃん?


確かめようと店内に入った。


……やっぱり結衣ちゃん。銀次の愛しの彼女だ。



参考書のコーナーでなにやら選んでいる。

大学の帰りだろうか。

ちょうど今は6時を回ったところだ。さすがに銀次もまだ仕事中だろう。