そんな不純な衝動を抑えながら結衣の左手をとり、指輪をはめた。


「すごい!先生ピッタリだよ。何でサイズ分かったの?」

「結衣のことなら何でも知ってる」


余裕ぶって偉そうに返すが、内心はかなりホッとしていた。

よかった…さすが俺。


「すごいね先生」と、嬉しそうに微笑んだと思ったら、なんと結衣は今はめたばかりの指輪を外した。


「っておい!!何で外してんだよ!!」

「え?大事にしまっとこうかと…」

「それじゃ意味ねえだろ!!」

ったく、結衣はいつも予想外なことをして俺を驚かしてくれる…。


「そんなに怒らなくても…」とビクついている結衣にもう一度指輪をはめた。


「いつか本物渡すまでずっとここに付けてろ。大学でも絶対外すなよ」

結衣に指輪をあげたのは、いつの日か結婚指輪を渡すまでの代わりだったが、虫除けの意味もある。
これで寄ってくる男も減るだろう。


「頼むから…」

そう懇願する俺に、結衣は戸惑った様子だったが、コクリと頷いてくれた。