「あのー…」 クスクス 「あの、斎藤サーン?!」 ターゲットをひとりに絞る。 「…………。」 我慢比べなら負けませんよ。 「斎藤サーン!耳、聞こえないんですかー?!」 声のボリュームを倍に上げる。 「…………。」 その時、斎藤さんがちらりとこちらに目を動かした。 なんなのこいつ呼ぶなよ馬鹿!とでも言いたそうな目だ。 周りのクスクス笑いは段々とボリュームを下げ、代わりに苛立ちのこもった視線があたしに注がれる。 ふむ。もう一押しかな。