「ねぇ!!なんで急に別れるなんて言うの?!」


「だからー、もう嫌になっちゃったのー」


「なにが?!なんでっ!!」


「うー、んーとねー…」



あらあらケンカかしら?


人通りがそれなりにある昼の廊下ですごい剣幕で問い詰める女の声と、やる気のなさそうな間延びした男の声。



おお、あれは同じクラスの福原詩織じゃないか。

福原は2年の女子軍団のテッペンに君臨する、ボスだ。



女の方は、どうやら彼女の声だったらしい。

かなり派手なごってごてメイク、髪は明るい茶色を巻き巻きしてて、日ごろからうるさい集団の真ん中にいる福原。


クラスでボス福原の取り巻きをしてる人は、カリスマ的な存在感だとかなんとか言ってたけど、あたしにはそのカリスマ感は伝わってこなかったのさ、残念ながら。

まあ、周りがあまりにも崇めてるもんだから、その信者のお怒りを買うのも面倒だし、心の声は漏らさないように蓋をして、巻き込まれない程度に風潮に軽く乗っかってはいた。


まあ、あいさつ程度だよね。