僕達は、水族館で海亀を眺めるという予定をあっさり変更した。
霧雨で煙る江の島に向かい、駅からの道から国道135号を渡ろうとしている。
その時、僕の右側を歩く美雨の肩越しに、きらびやかな看板が見えた。
ラブホテル…。
その看板を見るまで、女である美雨に対し、男としての邪心は不思議なほど起きなかった。
帰り際に誘ってみようかな…。
二人きりで休むだけだから…。
身体には触れないと約束する…。
僕はあらぬことの妄想を膨らませていた。
やはり僕も、そこいらにいる男と根本的には同類なのか…。
サイトで知り合い、お互いを知る努力も、辛いこと悲しいことを共有することの意義もすっ飛ばす…。
割と簡単に知り合ったのだから安易に性欲を満たすためだけの対象としてしか見る目を持たない…。
悲しいことだと思う。
だが、僕の頭上で天使と悪魔が綱引きをしているのだけは確かだ…。
「アキ…さん…?」
いつの間にか美雨が僕の思いつめた雰囲気を感じとったのか、大きな瞳を少しだけ潤ませ、僕の顔を覗きこむ。
「え?あ、ごめんごめん!さ!行こうか!」
自然に、あくまでも自然に手を差し延べた。握力のない空気のような君の掌…。
構わずぎゅっと握りしめた。邪心を起こしてしまい謝りたい気持ちを込めて…。
霧雨で煙る江の島に向かい、駅からの道から国道135号を渡ろうとしている。
その時、僕の右側を歩く美雨の肩越しに、きらびやかな看板が見えた。
ラブホテル…。
その看板を見るまで、女である美雨に対し、男としての邪心は不思議なほど起きなかった。
帰り際に誘ってみようかな…。
二人きりで休むだけだから…。
身体には触れないと約束する…。
僕はあらぬことの妄想を膨らませていた。
やはり僕も、そこいらにいる男と根本的には同類なのか…。
サイトで知り合い、お互いを知る努力も、辛いこと悲しいことを共有することの意義もすっ飛ばす…。
割と簡単に知り合ったのだから安易に性欲を満たすためだけの対象としてしか見る目を持たない…。
悲しいことだと思う。
だが、僕の頭上で天使と悪魔が綱引きをしているのだけは確かだ…。
「アキ…さん…?」
いつの間にか美雨が僕の思いつめた雰囲気を感じとったのか、大きな瞳を少しだけ潤ませ、僕の顔を覗きこむ。
「え?あ、ごめんごめん!さ!行こうか!」
自然に、あくまでも自然に手を差し延べた。握力のない空気のような君の掌…。
構わずぎゅっと握りしめた。邪心を起こしてしまい謝りたい気持ちを込めて…。
