俺は現実が現実じゃない事を知っている。




「チヒロ君、」

「リマ、おはよー」

「おはよう」


 あれからリマとは良く話すようになった。

 まるで昔に戻ったみたいに。


「教室、一緒に行こうか」

「うん」


 靴を下駄箱に入れてリマと一緒に三年のクラスがある廊下に向かう。


「最近チヒロ君毎日学校に来てるね」

「出席日数危ういからね」

「あはは。…今年卒業かぁ」

「寂しい?」

「少し、ね」


 リマは不安で捩らせた笑顔を見せた。