だって二人でいれば、

怖くないもの。


そう信じていたのに…―――。





バチバチッ――。



「え?」



砂柚が何かの音に気付き顔を上げると天井に設置された電球が点滅している。



「?」


柚羅も釣られて顔を上げた――刹那。


バチバチ―――!

電気が消え部屋の中が闇に包まれた。
突然のことに驚き窓から身を離し二人は抱きしめ合う。


「なっ、何?!」


「停電かな。…私もちょっぴりびっくりした。」

窓はカーテンに覆われ余計に暗い。

砂柚は、せめてカーテンを開けようと柚羅から身体を離し手を伸ばした時だった。



「ねぇ、怖い話でもする?雰囲気があっていいと思うんだ!」


柚羅の陽気な一言に身を固くする。


「誰がするか!!」


思わず怖がりの砂柚は怒鳴ってしまう。
けれど、返事は無かった。


「え………柚羅?」


怖くなって、手を伸ばすが空を切り裂くだけ。

そう言えば、いまだ暗闇に目が慣れていないのか周りが見えない。


真っ暗だ。


「ねぇってば…柚羅!?」

手探りで傍にいたはずの柚羅を探すが居ない。

不意に背筋が寒くなり、柔らかいベッドの感触が無くなっていることに気付いた。


宙に浮いた感覚が身体を走る。

すると、密室だった部屋に風が吹いた。

次第に勢いを強め目を開けてはいられなくなる。


な、何?!


砂柚は恐怖のあまり身体を埋めることしか出来ないでいた。