「ただいま!」



一人の少女が高校から帰ってきた。制服である紺のブレザーは着崩れている。


荒い息から家まで走ってきたことが分かった。

剣道部の部長である彼女は、週に三回遅くまで練習を後輩達と共にやっているのが常であったが、

まさか…年に一度のこの日に重なるなんて。




「おかえり〜。」



彼女に呼びかけた声の主は、彼女と同じ顔をしていた。


何故なら、二人は双子だったからだ。



荒い息を整え玄関で靴を脱ぐ。
ショートの黒髪に活発そうな少女が


―――――可愛砂柚。


双子の姉である。


そして、姉を玄関で迎える。


長い黒髪、同じ顔であるがどこか、ぼぉっとした感が否めない少女が


―――――可愛柚羅。



双子の妹であった。