「ごめんねっ!弘くん、」
「いや、大丈夫。」
そう言った弘くんは私をじっと見詰めてきた。
「ん?」
「あ、いや何も。」
何か弘くん赤いかも。
私は弘くんが心配になっておでこに手を触れた。
そしたら、
手、払われちゃった…
「…ごめんね。」
「いや、本当に大丈夫だから。」
怒ってるのかな…?
弘くんはスタスタと前を歩く。
弘くんに嫌われちゃったかも知れない…。
すると、急に弘くんが立ち止まった。
そんな弘くんの背中にぶつかりそうになりながら、私も止まる。
そして、私に手を差し出した。
「どうしたの?」
少し、無表情で
「手、繋がねぇの?」
そう言った弘くんの左手に、私の右手を重ねた。
「弘くん、怒ってる?」
「なんで?」
「さっき…手…。」
思い出して悲しくなる。
「あぁ、さっきのは…ごめんな。なんか、恥ずかしかったって言うか…。」
良かった…
「弘くんに嫌われちゃったかと思った。」
すると弘くんは
ふっと優しく笑った。
「嫌う訳ねぇだろ。」
だって。

