成人しちゃっていいんですか

あたしは彼に断わりを言い教室に帰って来た。


“帰って来た”──なんて、思うほど。

あたしは緊張してたんだ。
恐かったんだと思う。



彼はクラスでたった一人だけ、黒かった。




「指輪を探してっ」




『指輪!?』



「うんっあたしさ指輪間違って持って来ちゃってなくし「大変じゃん!」うん…」

「やっぱりあの子の言葉は嘘じゃん!? ほらっ泣いてるじゃん」
「………」

「それはあんたが怖いからだよ」

「うるさいな女おんなっ!!」

「それって悪口?!」



友達には悪いことをしてる。



でも事実なんて言えなかった。言ったら先生のこともばれるから。

どうしてかな?



(先生のこと秘密にしたい)



「大丈夫だよ探そう!?」
「うん」
「ほらっ胸なんか押さえずに、そんなことしてると谷間が──「──アホ 変態話は後だよ」


あたしは胸の微かな痛みに瞼を閉じて、予鈴と共に残り3科目集中した。

放課後。友達と一緒に教室に残り床を探し回った。