香りも雰囲気も匂いも変わっていない。

そんな目の前に三人で顔を合わせて笑っていると後ろから、陸の声が聞こえた。



(情けない声っ)



ぱたぱたと寄って来た陸にあたしは睨む振りをしてみせた。

「何かやったの!?」
「やっ・ては‥無いけど…なあ、手をさ離したら暑苦しい」
「八つ当たりか」
「ちがっ!!」

夏海の突っ込みに笑ったあたしを一哉を押し退けて陸は。

「こっちに来い」

と強引にあたしを引き寄せた。

もう既に言葉より先に近付いて、あたしは笑っちゃだめだとわかるけど笑ってしまった。

そんなあたしに陸は真っ赤な顔して舌打ちをした。


(可愛すぎるよっ…)