「化粧落としたか」 「えっ!あっうん!うん落とした‥きゃっ‥!!?」 ──うわ 「偉い偉い」 「………」 がたっ、と、音を立てて彼は男を見た。 男の手から箸が滑り、彼は笑って箸を瞬間キャッチした。 「…つっ」 「ほら焦げるぞ」 『………』 「どうした食べないのか?」 彼女と男は慌てた様子で“食べます”と叫んだ。 彼だけは笑って、でも。 「マヤはダメだな…」 彼は小さな独り言を呟き小さく笑った。