「ずるいっス」
アップテンポな音楽がけたたましく流れる車内。
男は運転中だというのに首を後ろに向けて、後部座席に丁度。
斜めの席に座る男に言った。
黒いさらさらと開いた窓からの風に髪を揺らす男は苦笑いして指を指した。
前を向けよ。と、男は腹筋に今さっきできたばかりの傷をみつめて苦笑していた。
「意外ッスけど」
「なにが?」
「……」
「…は?」
男の返事に表情はてっきり自分が言ったことに対してだと思っていた男はひどく混乱した。
お陰で、もう少しで赤信号を無視するところだった。
「女っていうのはさめんどくさい生き物だよね?」
「あのっえっと‥ああ」
男は無視されたんだと漸く理解ができた。
と、同時に勝手に話題を擦り替えていることに正面をみつめながら苛々した。
別にわかっていたことだ。
だからって理解するなんて無理だった。
男は素直に服が裂けていなければ、“勝つことの出来る”男の容姿と自分自身の容姿を客観的に振り返った。
またよからぬ方向へ視線を動かせば益々会話はずれてしまう。
それを避けることが今、最も、彼には大切だった。
アップテンポな音楽がけたたましく流れる車内。
男は運転中だというのに首を後ろに向けて、後部座席に丁度。
斜めの席に座る男に言った。
黒いさらさらと開いた窓からの風に髪を揺らす男は苦笑いして指を指した。
前を向けよ。と、男は腹筋に今さっきできたばかりの傷をみつめて苦笑していた。
「意外ッスけど」
「なにが?」
「……」
「…は?」
男の返事に表情はてっきり自分が言ったことに対してだと思っていた男はひどく混乱した。
お陰で、もう少しで赤信号を無視するところだった。
「女っていうのはさめんどくさい生き物だよね?」
「あのっえっと‥ああ」
男は無視されたんだと漸く理解ができた。
と、同時に勝手に話題を擦り替えていることに正面をみつめながら苛々した。
別にわかっていたことだ。
だからって理解するなんて無理だった。
男は素直に服が裂けていなければ、“勝つことの出来る”男の容姿と自分自身の容姿を客観的に振り返った。
またよからぬ方向へ視線を動かせば益々会話はずれてしまう。
それを避けることが今、最も、彼には大切だった。

