「小野寺くんと九条くん!今日ヒマ?」



入学してから、こんな感じのうるさい女子がよく話しかけてくるようになった。


髪は茶色で化粧もガッツリ。
香水の匂いが鼻につく。

てか、くさい。

どうも好きになれないタイプ。

苦手なんだよ、馴れ馴れしい態度とか、甘ったれた言葉遣いとか。

なんとなく愛花もこんな感じになってんだろうなーなんて思ったり。



とにかく、初日から何かと話しかけられてウザい。

聖夜のせいだ。このモテ要素の塊が隣にいるからこんなことになってるんだきっと。



「ごめんね。ヒマじゃないんだ。」
「オレも。」


ホントはまだ部活結成もしてないし、ヒマの極みなんだけど。

誰が遊びいくかよ。面倒くさい。



「えぇー、絶対嘘でしょ?」


うん。嘘。
でもそれを君たちに教える義理はない。



「嘘じゃないし。マジで忙しいんだ。」

「ふーん…」


五月蝿い女子が渋々席に戻っていった。



「ウザいな」とぼやく聖夜に同意の意味を込めて頷く。


聖夜はこんな爽やかな見た目に反して口が悪いところがある。

じゃなきゃ勉強に苦しんでいる俺をみて「底辺」だなんて言えないはずだもの。