「…ゆ、ユキさ…コーヒー…」 携帯を片手に、ユキさんは私を見、コーヒーを受け取って口パクで『さんきゅ』と言って、目の前のドアは再び閉まった。 どうやら、私がした最初のノックと声が聞こえていたらしい。 …相変わらず、部屋の中からは話し声が聞こえる。 多分、組の人。 ユキさんが、最初に見たときのような顔で、声で話していたから。 …私の顔を見ると、すぐにいつものオレ様な顔になったけれど。