ニヤリ。 その言葉にぴったりな笑みを浮かべてユキさんがそう言った。 「……。『いってらっしゃいませ、ご主人様』って言われたいんですか?」 「メイドかよ。…あ、かまってる暇なかったんだ。じゃ、いってくる」 「…いってらっしゃい…」 こうしていると、家政婦だってことを忘れてしまいそうだ。 …どこからどこまでが、家政婦の仕事なんだろう。 同居して、着替えを手伝ったりして。見送って。 はたから見れば夫婦や恋人同士のようだ。