彼の長い指が、私の顎のラインをなぞる。 ニヤニヤしている表情から言って、私の反応を見て楽しんでるのがわかる。 …やっぱり性格悪いなこの人! 「殺さないかわりに、」 急に声色が変わって、顔も真剣になった。 …真剣、というより冷たい目になっていた。 彼の瞳に私は確かに映っているのに、彼は私を見ていないようだった。 まるで、床に散らばっているモノでも見ているかのように、私を見ている。 …冷たい、目。