数秒の間のあと、私はユキさんに唇を塞がれていることに気付いた。 …息苦しさの原因はユキさんですか。 なんでいきなりキスなんてしてるんだ、まったく。 私は体力バカ…とは怖くて本人には言えないけれど、恐ろしい体力を持っているユキさんとは違ってヘロヘロのボロボロなのに。 あまり力が入らない手でユキさんの胸板を押すと、ユキさんはそれに反応してぱちりと瞼を上げ、焦点が合わないほど近い距離で私を見つめて、笑った。目が笑った。 笑った、と思うとスッとユキさんは唇を離した。