くすくす、と笑いながら、彼は片方の手で私の顎を掴んだまま、もう片方の煙草を持っていた手で、煙草をテーブルの上に置かれていた灰皿に押しつけていた。 「俺があそこにいなかったら、アンタは確実にこの世とサヨナラしてたろうね」 「…、」 たしかにそうだ。 あのとき彼がいなければ、追いかけてきた2人組に私は……。 「それに、俺は女に困ってないけど、他の奴だったら殺されなかったとしたら犯されてたんじゃない?」