【完】キスミーアゲイン



あはは、と笑うカオリの瞳から、涙が一滴、落ちた。




「……残念だな。 『湯木カオリ』に、なれなくて」

「なれるって。してやるから、死ぬんじゃねぇよ」

「正人は、幸せになって。私の、分も。…愛してるから。」

「っ、愛してる、俺だって。 てか、愛してんなら逝くんじゃねーよ、バカオリ」

「バカはどっちよ、バカ正人。…最期くらい、笑ってよ」


ふ、とその言葉に笑うと、カオリは満足そうに微笑んで、瞳を閉じた。




「…カオリ?」