「…も、喋るな。すぐに病院に連れていってやるから」 「…正人、私もバカじゃないわ。自分がもうダメだってことくらいわかるの」 「…んなわけ、ねぇだろ。ダメなんて言うんじゃねぇよ」 あのときの俺は、今まで生きてきた中で1番情けない声を出し、情けない顔をしていたと思う。 好きなオンナの前では、かっこつけていたかったのに、なんて今更思ってもしょうがないけれど。 「……正人と、幸せな家庭を築くって、決めてたのに……」